178「えっ? あいぼん?」



ハロプロが楽天とキックベースチーム結成…加護が主将にサンケイスポーツ



実に60年ぶりというプロ野球の新規参入球団となった、東北楽天ゴールデンイーグルス
そんな記念すべきチームを、モーニング娘。が歌やイベントで盛り上げるという
異色のコラボレーションが、いろいろな意味で世間の耳目を集めた2005年。
実のところのタネ明かしは、球団のイベントやパブリシティを司る子会社が、
アップフロントグループの傘下であるという「ただならぬ」関係があったという事で、
それは異色でもなんでもなく、単なる予定調和だったのではあるが、
一見、何の共通性も感じない二つのムーヴメントの競演は話題性十分で、
双方にとって、大きなプラス材料になった事は間違いがなさそうである。
しかし、チーム外の華やかな話題とは裏腹に、肝心の野球の成績は惨憺たる有様で、
辛うじてシーズン100敗の汚名は免れたものの、勝率3割を切るダントツの最下位に終った。
そして、ほとんどのコーチングスタッフが入れ替えとなり、
今年の楽天はおそらく、昨年までの雰囲気とは違うチームになるであろうと思われる。
そんな事情もあって、いきなりプッツリと関連性が切れてしまう事はないにしろ、
楽天ハロプロの間に、昨年のような蜜月関係はないと思っていたし、
それどころか、その繋がりは相当希薄になるだろうと、半ば確信していただけに、
今回のキックベースの話には、心底驚かされた。
だいたい、監督が「アノ」野村克也に替わったという時点で、
エンターテインメントの部分を割合重視していた楽天が、
例え地味なイメージになったとしても、1試合1試合クールに勝利を目指すチームに
変貌を遂げるであろうというのは容易に予想できるし、
そんな風に球団改革を目指そうかという雰囲気の中で、
ハロプロのような、野球と全く接点もないアイドル集団を、全権監督まで望まんとする野村氏が、
果たして快く受け入れるものなのかという危惧は至極当然。
だからこそ、ニュースを聞いたときの驚きは三割増であったのは言うまでもない。


しかもキャプテンに指名されたのが「クソ女」で名を馳せた加護亜依だというのだから、
正月早々、一体これはどういう初夢なんですか?というのが正直な心境だった。
さらに、キックベースという、さんざん消耗され尽くして、
誰も見向きもしなくなったジャンルを、あえてこの時期に拾いあげるという、
制作ブレーンのエキセントリックと言うより他ないセンス。
よもや、フットサルとの「スポーツ2本軸」を狙っての作戦という訳でもなかろうが、
いずれにせよ、どういうテイストのプロジェクトになるのか、
現時点では予想も想像もまったくつかないので、ある意味では、ものすごく楽しみではある。
ただ、フットサルとの「対極」という意味で、あちらがあくまでも真剣勝負に徹するというのならば、
こちらはエンターテインメントの部分をひたすらに追求してもらいたいというような気はしている。
いや、加護亜依がキー・ウーマンとして指名されたという事実こそ、
キックベースはそういう方向性を目指すのだという、確かな裏づけなのではなかろうか、
などと勝手に想像してしまったりするのである。


一生懸命ボールを蹴るも、三遊間の方向にボヨンボヨンと力なくボールは跳ねていき、
その様子を見て、自分で爆笑しながら、ドタドタと小走りで一塁に向かうあいぼん
プレイしている者、見ている者、全てがほんわかした笑いに包まれる。


見てみたいのは、なんとなくそんな光景だ。