172「ハロプロ2005下半期総集編/10月〜12月」





「なんでもあり」な状況への猛烈な危機感。
秋を過ぎてから怒りに任せた乱暴な文章をボキに書かせた根源はそこである。
コラムの題材にこそしていないが、本当にこのままで大丈夫なのだろうか…
と心から不安に思う事が随分と多くなってきている気がするのだ。
演者ファンとの距離感の麻痺。そして、インターネットという「覆面」を纏い、
演者に対して必要以上に行われる「精神的暴行」。
どこか、なにか、やっぱりちょっとおかしかった。


ボキは、アイドルとファンとの関係は「つかずはなれず」でなければならないと考えている。
距離が遠い事はもちろんいけない。だが、距離が近すぎる事もまた、
演者とファンとの関係においては、ある種のタブーなのではないかと思うのである。
もっと解りやすく言えば「友達感覚」ではいけない、という事だ。
いや、そういう心持ちでアイドルと接する事自体は悪い事だとは思わない。
今問題視したいのは、演者との距離が近すぎるが故、
目の前の存在が、あたかも意思疎通の対象であるかのような錯覚を持ってしまう事。
声をかければ、声をかけ返してくれる。希望を言えば叶えてくれる。
常に自分だけを見続けてくれている。
そして何より、その錯覚の状態こそ「ごく普通」「当たり前」であると、
完全に感覚が麻痺してしまっているファンが、今とても多いという事が、
ボキにはものすごい恐怖なのだ。


こんな事はわざわざ書くまでもないのだろうが、彼女たちと僕たちファンの間には、
どこをどうあがいても乗り越えられない壁がある。
ファンクラブツアーやディナーショーでどれだけ距離が短くなろうとも、
壁に隔たれた向こう側には僕たちは絶対に到達できない。
そしてそれは、壁の向こう側も同じ事。
夢売り商売である彼女たち。その夢を買ってくれる僕たちファンは、この世で最も尊ぶべき存在。
だから、彼女たちは僕たちにとびきりの笑顔と元気な歌声を、
常に、どんな状況であっても僕たちに与え続けてくれているが、
それはあくまでも彼女たちに課せられた義務であり、
よほどの事がない限り、「人として」僕たちが認知してもらえる事はほとんどない。
別にその事を卑下しようというのではなく、アイドルと僕たちの関係は
どこまで行こうとも、そういうシチュエーションなのだという事を
しっかりと理解し、納得した上で、越えられない壁と向き合わないと、
現実を直視せずに、とんでもない事を考え行動してしまい兼ねない。
いや、もうすでにそのような、浅はかな思考のヲタが多くなり始めている現実がそこにはある。


怒りたくない。不快な気持ちにもなりたくない。
でも、全ての気持ちに蓋をするなんて真似は絶対にしたくない。
だからボキは来年も、そしてこれから先もずっとずっと、
常に、物申す姿勢だけは崩さずにいようと思う。
そして、その根底にある「ハロプロへの愛」は、我こそが本物なのだと
来年も、そしてこれから先もずっと胸を張ってそう言えるように。


2005年もあと1日、である。