167「アニバーサリー」



メロン記念日Wikipedia



前にも書いたかも知れないが、ボキはメロン記念日の単独ライブに足を運んだ事がない。


そもそも、モーニング以外のコンサートにも積極的に参加しましょうという
スタンスをとるようになったのが最近の事で、それまでは「浮気などするものか」とばかりに、
他のハローのメンバーのライブには見向きもしなかった。
当時は欠かさず参加していた、夏冬のハロコンである程度の雰囲気は味わえたし、
他人との会話に困らない程度の知識はそこで得られていたつもりだったので、
別段ライブに行く必要性もなかったというのが本音なのだ。
メロン記念日もまたしかりなのだが、ただ、食わず嫌いを脱却した今となっても、
メロンのライブに行くことだけは、どうしても少し躊躇してしまう自分がいるのだ。
そこにあるのは、メロンのライブが持つ特有の敷居の高さ。
そしてそれはたぶん、ボキがメロン記念日というユニットの、
「萌芽期」をリアルタイムで見てきたからではないかと思うのだ。


ご存知の通り、メロン記念日にはジリ貧というべき底辺の時代が確かにあった。
グループとしてどういう方向性を目指すのか。
そんな芸能人としての基本線とも言える部分さえ闇の中だった時代。
そんな中にあっても、決して多くを求める事なく、彼女たちを懸命に愛でていた初期からのファンたち。
彼らこそが、今のメロンのライブのスタイルを作り上げたと言っても決して過言ではない。
そして、そんな愛すべきファンたちを、メンバーが信頼し、委ねる気持ちがあるからこそ、
観た者たちの誰もが絶賛して止まないアクトを、伸び伸びと披露する事ができるのである。
メロンがいるからファンでいられるし、ファンがいるからメロンがメロンでいられるのだ。
単にライブの空気になじめるかが不安だ、という事もあるのだけど、
なんというか、完璧にしかも綺麗な形で築きあげられている、メロンのライブの伝統と信頼関係に、
新参がいとも簡単に乗っかっていっていいものなのか。
冷やかし程度でに会場に入るのは、なんかちょっと失礼なんじゃないのか。
なんてそんな風に思ってしまうのだ。
もちろんそれは、メロンのファンがご新規さんに優しくないという意味では断じてないし、
そう感じるのは、あくまでボキの個人的な胸の内である。
ただ、メロン記念日とそのファン、両者の絆の形と深さをなまじ知っているだけに、
ボキにとってのメロン記念日のライブとは、ある種「聖域」に近い趣に映るのだ。


ファンにとっては待ちに待った単独ツアーがスタートしている。
ハロコンキャプテン公演で「今日はここまでよ」などと散々ぱら焦らされてきているだけに、
久しぶりの「あの感覚」に悶絶しているファンはきっと多い事だろう。
そしてたぶん、メロンと過ごしてきた日々がいかに幸せであったかを再認識しているに違いない。
会場で繰り広げられるのは、ファンとメンバーの言わば「絆の交換作業」。
そんな貴重な時間に水を差すような事をするほど、ボキだって野暮じゃない。
だからやっぱり今年も、メロンのライブは欠席という事である。