152「たかが1年、されど1年。」
「緊急寄稿・安倍なつみのコト」(週間ハロー!プロジェクト批評/2004.12.01)
このコラムを始めてちょうど1年。
時間の感じ方は人それぞれだろうが、ボキにとってのこの1年は、本当にアッという間だった。
それはたぶん、1年前にコレと決めた「生きる道」を、
極力よそ見をせずに、かつ少し早めのスピードで走ってきたからだと思っている。
決めた信念が揺らぐ事をを恐れるあまり、周囲の様々な声に応える事もせず、
ひたすら自分の歩幅にこだわり続けたこの1年。
そのせいで、たくさんの理解者を裏切った事への負い目は今も、
そしてこれから先もこの胸から消える事はないし、
大事にしていたいろいろな物を、ほとんど手放す結果にもなった。
けれど、そうなっても、ボキは決してその歩みのペースを変えなかった。
いろいろあっても、決めた道を揺るぎなく生きる事で、
きっと、いつかいい結果を得ることができる。
そう頑なに信じて、この1年という月日を過ごしてきた。
そんな「生きる道」の具現こそ、150本積み重ねたこのコラムという訳である。
そして、もう一人。
自分自身というものを見つめ続けながら、この1年を過ごしてきた安倍なつみ。
彼女にとってもまた、1年という時間は恐ろしいほどに早く流れた事だったであろう。
さらに彼女はボキなどとは違い、その小さな肩に背負っている荷物の重さがハンパではないし、
昨年暮れからの1年間は、そんな重圧との戦いでもあったのではないだろうか。
2月の日本青年館の復帰会見を見るまでの間、
なっちはこのまま潰れてしまうんじゃないか…と、ボキは本当にドキドキしていた。
折しも、ハロプロオールスターズがメディア展開していた時期。
謝罪と称して、大集団が頭を深々と下げる様子を、彼女はどんな思いで見ているのか。
後浦なつみとして登場するはずだった紅白歌合戦もしかり。
そしてなにより、盟友・飯田圭織の卒業のステージに立ち会うことができないという
「仕打ち」に、彼女の心は耐えられるのか。
身内にでもなったような勘違いは重々承知も、そんな心配をせずにはいられなかった。
そして、全ての事は、自分も出入りしている掲示板の
「愚劣な祭り」に端を発しているという事も、たまらなく心苦しかった。
だから、ハロモニ。に復帰した彼女が、人文字選手権で遊んでいる姿を見て、
本当に、心の底から安心したものである。
彼女が立ち直れたのは、やはり彼女を支えるファンの力が大きかったと思う。
当時のコラムで「ファンは今こそ立ち上がれ」みたいな事をボキは書いたりしていたが、
あの頃は、事件そのものを面白がっている者や、
そのままストレートに彼女に罪悪を着せて悦に入る者など、
もしかして、彼女の味方は誰一人いないんじゃないかと思えるほどに殺伐としていた。
だが、ハワイのファンクラブツアーで、ライブのステージに立った彼女が、
ファンの前で思わず涙するシーンをテレビで見て、実感したのである。
彼女がどんなに傷つき、そしてくじけそうになったとしても、
何もかもを脱ぎ捨てて戻ってこれる場所――本当に彼女を愛するファンたちは絶対的に存在し、
ボキなどが必死になって彼女を庇わなくとも、ちゃんと彼女はそういうファンに守られるのだという事。
そして、彼女もまた、そのファンの思いを十二分に理解しているのだという事。
いろいろあったし辛かった時間だったけど、だからこそ実感し得る、
なっちとファンの「絆」の重さを感じずにはいられなかった。
11月5日。東京厚生年金会館で行われたコンサート。
ステージでクズグズのMCを繰り広げている彼女を、苦笑しながら見ていたボキは、
そこにやっと「本当の」安倍なつみが戻って来たという事を実感していた。
そして、さまざまな心境の中過ごした1年の月日をバネにして、
これからも彼女は「なっち」として、僕たちの前で屈託のない笑顔を振りまいてくれる事だろう。
だってやっぱり、なっちがいないハロプロは、つまんないのである。