151「『直感2-逃した魚は大きいぞ!-』〜モーニング娘。28thシングル



直感2〜逃した魚は大きいぞ!〜amazon.com/購入もできます)



先行情報が出た後も、その先行きが少し混沌としていた感じの
モーニング娘。28枚目となるニューシングルだったが、
結局『直感2〜逃した魚は大きいぞ!〜』メインという事で落ち着き、
当初A面とアナウンスされていた『恋は発想 Do The Hustle!』はカップリングとして収録される事になった。
巷では、『恋は〜』の歌詞の一部に商標名が使われており、
特にこれからの時期のNHK方面に配慮してA面が差し替えになった…
なんていうマコトしやかな噂も流れたりしているが、
事の真相はもちろん我々が知る所になどならないだろうし、また別にわざわざ知る必要もない。
だが、そうなったという結果だけをポンと呈示されたときの、
ボキの胸に沸き上がったモヤモヤ感についてだけは、強くここに書き記しておきたいと思う。


リニューアルされた歌詞の内容、そしてよりお祭り色が濃くなったアレンジからは、
21世紀版『LOVEマシーン』を意識した形跡がありありと見えるし、
ここ数作は少し「よそ行き」の装いだったモーニング娘。が本来の路線に回帰した作品という事で、
楽曲に対する期待感としては、今年1番なのは間違いない。
ただ、経緯がどうだったにせよ、ニューシングルと言いつつ、
その実「完全な新曲」ではないという事が、どうしてもやっぱりしっくりとこない。
アルバムからのシングルカットなんてよくある話だし、
歌詞もアレンジも手が加えられているんだから、別にいいっちゃいいのかも知れないのだけど、
なまじ『恋は〜』という純然たる新曲が存在しているだけに、その心境はなんとも複雑なところである。


なんというか、楽曲に対する新鮮味のような部分。


例えば誰かのラジオで、「モーニング娘。のニューシングル、宇宙初オンエアです!」
とかなんとか告知があって、今度の曲はどういう方向性で来るのか…みたいな期待と不安の中、
そのオンエア日を今や遅しと待ちわび、迎えた解禁日には、実際耳にした楽曲について、
聴き手一人一人が思いを巡らせる。絶賛。あるいは酷評。いろいろな感じ方をもって、
テレビの歌番組や、ライブステージでの披露へと、その楽曲の持つ可能性が広がっていく。
なんというか、そういうのが、ニューシングルがリリースされる際の、
リスナーだけが味わえる「愉しみ」のような気がするのだが、
結局、今回のシングルには、そういう高揚感を抱かせる要素が見当たらない。
アルバムを聴けばどういう毛色の曲かは当然解るし、
ビジュアル面においても、春のツアーですでに「原作」とも言うべき
『直感〜時として恋は〜』(以下『直感1』)は披露されているし、その映像はDVDにもなっている。
各所でマイナーチェンジは行われているとは言うものの、
それは、原作たる『直感1』の雰囲気を大きく逸脱する程のものでは当然ないだろうし、
事実、曲を聴き、この秋ツアーでのパフォーマンスを見るに至って、
やはり、『直感1』とほぼ同じイメージの楽曲であるという印象は強かった。


先にも述べたように、楽曲そのものに対する期待感は大きいのだが、
そのあり方には納得のいかない部分が強く残る今回のシングル。
ボキとしては、『恋は〜』をドッシリとA面に据え、
あれやこれやと楽曲に対して思いを馳せる愉しみを、リスナーである我々にもう少し供して欲しかった。
そうすればきっと、曲に対する思い入れの深さも変わっていただろうし、
『直感2』に対するスタンスも違うものになっていただろうと思う。


ただまあ、そんな小難しい講釈を並べたところで、あのメロディとリズムが流れた時、
自然に身体が反応してしまうであろう自分の姿が容易に想像できてしまうあたり、
改めてハローヲタとしての「性」というものを実感せずにはいられないのだけれども。