150「『れいな』〜田中れいな 2ndソロ写真集」



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例えば藤本美貴にしてもそうなのだが、
言いたい事をオブラートに包まないで発したり、女のコにしては少々お行儀の悪い言葉遣いや
振る舞いの部分をして、「ヤンキーっぽい」と評される事がよくある。
まあ、そういう類の潜在能力の有無というものも少なからずあるとは思うが、
それというのは、たぶん、年頃の女のコ誰しもが多かれ少なかれ持つ一部分だろうし、
藤本に限らず、どのメンバーにしても例外なくそういう部分は持ちあわせているはずである。
つまり、アイドルという職業上の「たしなみ」として、
そういう「ダークサイド」を、あまり表に出さないようにしているかどうかだけが
その差異なのであって、実はヤンキーっぽいという評価というのは、
あまり正しくないのではないか。それがボキの見方である。


そんな藤本と並び称される、モーニングの。いや。
ハロプロ随一のヤンキャラが、田中れいなである。


小気味いい九州弁を使い、その藤本に負けるとも劣らない
サバサバ系のキャラは、オーディション当初から際立っていたし、
プライベートで般若柄のTシャツを着ていた事を番組で暴露されたりして、
「博多の軽ヤン少女」というイメージがすっかり定着してしまった彼女だが、
藤本と同様、振る舞いが多少「女のコっぽくない」というだけで、
いかつい雰囲気を滲ませているとか、怖いという印象は、当然ではあるが抱くには至らない。


例えば、道重さゆみのようなナルシストなキャラや、吉澤ひとみのようなカッコいい系のキャラといった、
多種多様な「アイドルタレントとしてのキャラ設定」という面から考えた時、
言動にあまり素っ気がない田中や藤本の場合は、
キャラ的に修飾感のない、色で例えればモノトーンな感じであり、
そういったところが、アイドルという括りの中においては「アイドルらしからぬ」とか
「アイドルっぽくない」というような評価に繋がっていく訳だが、
先の7期メンバーオーディションにおいて「カッコかわいい」という、なんとも今風な理由で
田中や藤本を、憧れの存在だと宣言する応募者が多かったところを見ると、
その飾らないキャラクターこそが、今のモーニング娘。の中においては、
十分すぎる個性となっているという事なのだろう。
というか、田中れいなのようなキャラこそが、そもそも十代の女のコ的には
ノーマルな方向性なのかも知れないし、人間的にも芸能人的にも自分をあまり演出しない、
等身大というか、「フツーの女の子」っぽさで多くの支持を受けているという側面は少なからずあるようだ。
そして今回リリースされた、彼女2冊目となるソロ写真集『れいな』は、
そんな田中れいなの持つ「リアル女の子」な魅力を余す所なく表現した珠玉の一冊となっている。


そのあどけない表情に、博多のヤンキー少女という面影は微塵も見られる事はない。
そこにあるのは、16歳を目前に控えたアイドル・田中れいなの紛れもない「年相応」であり、
この顔形のどこにあのサバサバ感が潜んでいるのか、思わずマジマジと写真を見つめない訳にはいかない。
そして、強く触れたら簡単に壊れてしまいそうな、華奢で繊細すぎるボディ。
ここにも、いつも強気なヤンキー然とした姿を見ることは全く持ってできない。
本当にこの少女は田中れいななのか? という馬鹿げた疑問さえ抱くほど、
写真集の中の彼女は、とても可愛くて、そして少し儚げな15歳のアイドルである。
もちろん、カメラの向こうの彼女が無理をしているという風には見えず、
一冊を通して鑑賞して導き出されたのは、
この写真集の田中れいなこそが、本当の彼女の姿なのではなかろうか、
などという、至極当然の結論のみであった。


いわゆるフツーの15歳。

それが田中れいなの正体であり、写真集『れいな』はその動かぬ物的証拠であると言えよう。