134「安倍なつみコンサートツアー2005秋 〜24カラット〜」



安倍なつみ (Hello! Project 公式サイト)



ライブの良し悪しを判断するのに、


1.楽曲(セットリスト)
2.MC
3.観客との連帯感


という3つの要素があるとして、その3つのどれもがほぼ満点に近いレベルなのが
松浦亜弥のライブであるとボキは考えている。
強いて彼女のライブのウイークポイントを挙げるとするならば、
そのレベルの高さが平均的であるという事である。
突出した個性というか、なにか一つ強烈な「売り」がある事で、
例え他の要素で多少見劣りしたとしても、マイナス要素を補う事ができるし、
その個性がライブの代名詞として定着すれば、それはとても大きな武器となる。
松浦亜弥の場合、どの要素においても総じて高得点な反面
あややのライブと言えば!」という殺し文句がないあたり、
そんなの贅沢なマイナス得点すぎると言われるかも知れないけれど、
やっぱり少し物足りないような気もするのである。


時に安倍なつみ。彼女のライブのその突出した個性とはなんといっても、
会場全体を包み込むような「丸さ」そして「やわらかさ」だと思う。


松浦の初期の頃とか後藤真希、あるいはメロン記念日あたりのライブにおいては、
開演から終演まで、演者がステージから客席に向かって、
始終グイグイとパワーやエネルギーといったものを押し出してくるような印象がある。
それがパワフルなステージという定評の所以だったりする訳だが、
そのパワーは曲の雰囲気に関わらず、バラードナンバーにおいても放たれたりする事が往々にしてあり、
ステージから放たれる力と、それを受ける力の壮絶な応酬は、一瞬たりとも気が抜けない。
そして、確かにそれを戦いぬいた末に沸き上がる充実感や達成感は半端ないのだが、
ライブ終りには、たいてい身体も心もグッタリと消耗し、
ライブの余韻は「味わう」というより「とり憑き、疼く」といった趣きで全身を支配する。


なっちのライブは、そんなパワーヒッターたちのライブとは180度真逆の個性。


一曲一曲、MCの一言一言すべてが柔和で、
手触りの良いフェザーのクッションのように、その雰囲気はどこまでも穏やかだ。
そして客席から放たれるのは、「取扱危険」の鋭利なエネルギーではなく、
いつものなっちがいつものように振舞って生まれる「なっちオーラ」。
それが、まるで大きなシャボン玉のように会場全体をほんわかと包み込んでいく。
そして、見終わった後、過ごした時間を改めて反芻し、
脳裏と身体になっちの温かさを改めて思い浮かべ、胸に残った余韻をグッと噛み締めた時、
「あー、このライブ来てよかった」と、心の底から思える。
なっちのライブには、盛り上がるライブでありながら、どこかにそんな「癒しの秘儀」を秘めている。
激しい路線のライブに少し疲れていたり、ライブを見る事の違った形の楽しみにアプローチしたいのならば、
ぜひ、見るべきライブだろうと思う。


それにしても今回のコンサートを見て、改めて思った。
やっぱ、なっちって、いいコなんだわ。うん。