130「環境庁推薦アイドル?」



モーニング娘。"熱っちぃ地球を冷ますんだっ。" 文化祭2005 in 横浜(オフィシャルサイト)



文化祭イベントを目前にして、再びモーニング娘。内が「エコづいて」きつつある。


先の衆議院議員選挙において、自民党くのいち刺客の筆頭として面目躍如し、
無事に再選を果たした「エコモニ。の母」こと小池百合子環境大臣の大臣続投もほぼ確実な情勢で、
小池大臣の、メディアを使った環境問題啓発の戦略が、今後急激な方向転換をしない限り、
モーニング娘。なりエコモニ。が持つ広告塔としての役割は続いていく事だろう。
まあ、それ自体は別になんて事はない。
むしろエコモニ。の登板機会が増える事は、世の石川梨華ヲタ、
そしてボキも含めた道重さゆみヲタにとって、メリットにこそなれ、
悪い要素になどこれっぽっちもならないというのは言うまでもない事である。


ただ。
環境というジャンルに特化しているとは言え、
彼女たちがいろいろな場面で「優等生」として振舞わなければならないという事については
若干の危惧がない訳でもなかったりするのである。


かつて、モーニング娘。が一大ムーヴメントを巻き起こした時代というものがあった。


CDやDVDなどのリリースがオリコンの上位を常に賑わせる。
書籍にしろテレビにしろ「モーニング娘。」という表記があるだけで、部数や視聴率が倍増の一途を辿る。
オーディションを開催すれば25000通以上の応募が届く。
関連商品を出せば飛ぶように売れる…
今から考えれば熱病にでも魘されているような流行の渦の中、
彼女たちは、老若男女を問わない知名度を持つに至り、特に、アイドルタレントが近年最も
「弱点」としていた、子供たちからの支持を大きく得る結果となった。
この事によって、どの世代性別からも好感を持たれる「国民的存在」へと
モーニング娘。はステップアップしたのだが、その一方で、子供たちが見ても大丈夫な、
お手本足りうる存在。言わば「毒」を全く持ち得ない、極めて無刺激なグループへと変化してしまった。
ブレイク前夜のモーニング娘。は、
各メンバーの持つ個性が激しく鎬を削る、刺激に溢れたグループだった。
エロい話も恋愛の話だって時にはするし、中澤裕子安倍なつみを、年齢や天然ネタで強めにイジる。
言ってみれば「剥き出し」のグループ内の雰囲気がそこにはあって、
それは果てしなくリアルだった。そしてそこから生まれる親近感のようなものが、
当時のモーニング娘。の大いなる魅力だったのであるが、
そういった部分を、ブレイクしたモーニング娘。はすっかり「隠蔽」してしまった。
その後、子供のお手本的役割をミニモニ。に落とし込み、
モーニング娘。本体としては、「剥き出し感覚」を少しばかり取り戻しはしたものの、
以前のような刺激には程遠く、またメンバーが究極的に低年齢化したという事も相まって、
良くも悪くも人間味溢れるモーニング娘。は、すっかりナリを潜めてしまった。


優等生である事はタレントとしてのイメージの向上には繋がるだろうが、その活動の幅は極端に狭くなる。


その道をかつて歩いてきたのは、他ならぬモーニング娘。である。
にも関わらず、またしても今になって「環境優等生」のレッテルが、
モーニング娘。に大きな影響を及ぼしてしまうかも知れない状況にある。
もちろん、優等生であるのは環境というジャンルにおいてだけの話ではあるし、
他のジャンルに関しての所作振舞いは、環境宣伝に直接関係はない。
しかし、国民に対するイメージを作り守らなければならないというのは、
形は違えど、以前のムーブメントの際と根本の部分は全く同じである。
しかも今回は、国家という大きな存在が絡むキャンペーンの話。
あるいは今後の彼女たちの活動の足かせにならないとも言えなくはないのではないのか。
毒にも薬にもならないようなフヌケたグループに成り下がりはしないか…
なんてまあそんな事は絶対にないだろうけど、不安になってしまう部分というのは否めない。


国民的アイドルも結構だが、最低限の制約以外は自由に振る舞える、
身軽な存在でモーニング娘。はあって欲しい。
無理にスターとしての鎧に身を包まなくとも、普通の感じでいれば、
きっともっとみんなモーニング娘。を好きになると思うんだけどなあ。