129「さよならするのは、辛いけど」



Berryz工房 石村舞波 卒業のお知らせ(オフィシャルサイト)



かつて、シェキドルというグループがハロプロにいた。


メロンや松浦を輩出した「モーニング娘。妹分オーディション」から出てきた、
まあ一応は選ばれた素材で、特に華がないとか、実力に難があるという訳ではなかった
(むしろメロンあたりより洗練されている感じが個人的にはしていたが)のにも関わらず、
露骨にPUFFYのテイストを着せられ、楽曲もアマチュアバンド臭漂うチープさ。
しかもなぜかデビュー曲をメジャールートに乗せてもらえないという不遇な存在であった。
今から思えば、一体あの不遇さなんだったのだろう?と思わず首を傾げてしまうのだが、
デビュー時のそんなまずい采配が、やはり後々じわじわ響く事になり、
メンバーの出入りが目まぐるしく行われた揚句、非業の最期を遂げてしまった。
そんなシェキドルが、家の近くで催されるラジオの公録に
ゲストでやってくるというので、出かけた事があった。
結成メンバーにいつの間にか1人が加わり3人体制になっていたり、
シングル『全体的に大好きです』がアニメのテーマに選ばれて、
少しだけ話題になったりしていた当時のシェキドル
オリメン二人を従え、後から入った新メンバーが嬉々としてボーカルを努めている光景に
なんとはなしの違和感を抱きつつも、
最前列に陣取った数人のヲタが、曲に合わせて楽しそうにクルクル回っているのを見て、
(余談だが、ボキがヲタ芸としてのマワリに触れた、これが記念すべき最初の瞬間でもある)
「これはこれでいい雰囲気なんだな」なんて感想を抱いて帰宅した数時間後、
オリメンの一人である、凡ちゃんこと大木伊吹が、
ハロプロから離脱するというニュースがヲタの間を駆け抜けた。
別にシェキドル推しという訳でもないし、ついさっき目の当たりにした違和感を冷静になって考えれば、
全く予想できぬニュースでもなくはなかったのだが、
何の前触れもなく突然いなくなる特異な事態という事もあって、
この凡ちゃんの脱退劇はボキにとって衝撃だった。
考えてみれば、ココナッツのレフアが突如ハロプロからの卒業を発表した横浜アリーナでも
ボキは立見席で愕然としていた記憶があるし、
りんねがハローを去った時も、やはり寂漠の念を抱かずにはいられなかった。
セレモニーの有無や離脱の形はどうあれ、ハローからメンバーがいなくなるという事は、
ボキにとってはやはりこの上なく辛い事なのである。


そんなボキなのに、今回の石村舞波卒業発表に関しては、琴線をピクリとも刺激されなかった。
ここ数年の間にボキは心の冷たいヲタに成り下がってしまったのだろうか。
いや。決してそうではない。
たぶん、ハローのメンバーが脱退をしてしまう状況になった時には、
ショックや悲しみを募らせるだけの心の潤いは、まだボキの中にもたっぷり残っていると自負できる。
つまり、石村舞波はボキにとっての「ハローのメンバー」ではなかったという事なのだ。


確かにここ最近は、Berryz工房の活動に対して食わず嫌いする事なく
真正面から向き合うようにはなったし、なくなった訳ではないにしろ、
彼女たちに対する異物感は以前に比べて幾分かは薄らいでは来ていた。
「ああこのままベリっ子を受け入れる体質になっていくのか…」なんていうような
「諦念」すら最近は持ち始めていたりしたのだが、
このニュースに何の感慨も抱かない自分というものを確認した時、
ボキにとって未だ彼女たちは異物であり、そこからメンバーが巣立って行くという事も、
ハローで起こっているのではない、全く異質の世界の出来事なのだという事を改めて実感した。
やはり、ボキにとってBerryz工房は、従来どおり「対象外」の存在だった。
それを再確認できたという意味では、ボキにとっても意味のあるニュースだったと言えるのかも知れない。


まあ、一体どれほどのヲタがこのニュースに触れ嘆き悲しんでいるのか、
その辺りは正直なところよく解らないのだが、
もしかしてもしかすると、ボキのように「特に何も」というスタンスのヲタが、
意外と実は数的には多かったりするのではないか…なんてチラリと思ってしまったりするのは、
やっぱりガチの石村ヲタの人に対しては失礼だったりするのだろうか。