127「木を見て森を見て、そしてまた木を見る。/前編」



アイドルWikipedia



最近、ハロー以外の女性芸能人に目が向くようになった。
なんだそんな事と思われそうだが、ボキの中でここ5、6年ほど続いてきた、
非ハロー女性芸能人に対する鎖国的状況を考えれば、これは大きすぎる変化なのである。


洋楽、格闘技、映画、お笑い…思えば、若かりし頃のボキの周囲は、
「その道」に造詣の深い知人ばかりだった。
そのジャンルが好きである事、そして知識量なら誰にも負けないという、
エキスパート然とした知人たちに大いにインスパイアされたボキは、
唯一、自分の得意分野であると信じて疑わなかった、
アイドルを中心とした女性芸能人のエキスパートになってやるのだ!
そう心に誓うのだった。


当時は、いわゆるアイドル冬の時代と呼ばれた時期。
もちろん正統派市場も細々とは開かれてはいたが、アイドルが好き=オタクという
悪しきレッテルがファンたちの歩みを鈍らせ、
結果、アイドルはビジネスとして脆弱極まりないジャンルに成り下がってしまう。
そして各事務所は、こぞって「アイドルと名乗らないアイドル」を世に送り出すのだった。
女優系、セクシー系、バラエティ系、そしてアーティスト系…
俗に正統派と言われる、従来からのアイドルの形を否定し、客にこれはアイドルではないと
思い込ませる手法が当時の女性芸能人を売る戦略の主流となり、雨後の筍よろしく、
相当数の「隠れアイドル」が出現した。
で、エキスパートを目指すボキはと言えば、毎月片っ端からアイドル雑誌を購入したり、
テレビやラジオのチェックを欠かさないようにしたりして、
次から次に出てくる女性芸能人の「お勉強」に勤しんだ。
少なくともあの時期、日本で最もアイドルを勉強していたのはボキだろうと胸を張って言えるくらい、
脳みその中にアイドルのプロフィールやらなんやらを詰め込んでいったのである。
まあ、好きでやっている訳だしそれが苦になるなんて事も当然なく、
むしろ、着々とエキスパートに近づきつつあるという実感に酔いしれる毎日だったのだ。


あのグループに出会うまでは。


そう。モーニング娘。ハロプロに触れ始めてからは、ただただ、その魅力や楽しさに溺れるばかりで、
エキスパートへの道などどこへやら。他の女性アイドルに目を向ける気力は消えてなくなってしまった。
というか、あまりにハロプロ内で処理せねばならない事が多すぎて、
物理的に他のタレントをフォローすることができなくなってしまったのである。
そして今、ようやくその熱病のようなものから解放されつつあり、周囲が少しずつ見え始めてきた。
冒頭に「大きすぎる変化」と自負した理由はそこにある。
ただ、それはハロプロに対する情熱が消えたという事ではなく、ボキ自身いろいろな事を経て、
ハロプロとの向き合い方が変わってきた結果なのだと思うし、それはモーヲタとしての自分にとって、
とても重要な事に違いない、そう強く信じている。


そんな余所見をし始めたからだんだん解ってきた、今のハローの良い所と悪い所。


もちろん「演者に罪なし」の精神を大前提としてではあるが、
失速と言われて久しいハローが、今後更なる進化を遂げて行くための要素、
そしてその作戦について、次回じっくり分析してみたいと思う。