126「現代用語とかとは違うと思うぞのココロ」



「ぬるぽ」「中の人」などが「現代用語の基礎知識」にimpress Watch
『現代用語の基礎知識2006』掲載キーワード発表 はてな公式)



この記事を読んで
「正直どうなんだろう?」と思ったのは、なにもボキだけではあるまい。
なんというか、面白いとか愉快痛快という次元を超え、
こういう状況はちょっとヤバいのではないか、とボキは強い懸念を抱いている。
たぶん、こういったキーワード、あるいはそのキーワードの発信元とも言うべき
2ちゃんねるというものは、こういう場所に出てきてはいけない種類のものだとボキは思う。
そう。2ちゃんねるは、もっとアンダーグラウンドであり続けなければならないのだ。


昨今、電車男の異常とも思えるブームによって、2ちゃんねるの「美化」はとめどなく進み、
名も知らぬキモヲタの恋愛を住民全員が祝ってくれる優しい場所だと、一般人はたぶん本気でそう思っている。
けれど、2ちゃんねるに以前から出入りしている者であれば、
あの場所が、誰もが楽しくほんわか集えるサロンのような所ではないという事を
身をもって理解しているし、そういう雰囲気でやってきた新参を、
満を持して叩く準備もきっと着々と進めているはずだ。
あるいは、勘違いしてやってきた初心者にすでに洗礼を浴びせた住民だってきっといる事だろう。
本来2ちゃんねるとは、場の空気を読まぬ初心者の参加を良しとせず、
何かの拍子でそれまで平和チックだったスレの雰囲気は殺伐とし、
そしてある日突然自分が「叩き」の対象になったりもする。
食うか食われるか。いつも何かを警戒しながら、
それでも一種スリル感味わいたさにスレに参加してみたり、
あるいは、時として起こる板をあげての壮大な「祭」に酔いしれたり。
危険と甘美の背中合わせ、その絶妙のバランスの上に成り立っているものなのだ。


そしてもう一つ。2ちゃんねるというのは、超大型の匿名掲示板ではありながら、
その一方で非常に閉塞したコアなコミュニティでもある。
つまり、そこに集っているのは、例えばモーヲタの中でも「特殊な存在」であり、
隠語や2ちゃんのムーヴメントといった、他人には決して解らない
特殊性を共有する事が本来の醍醐味のはずなのだ。
みんなでこっそり共有するべく醸成した特殊性が特殊ではなくなる、
つまり2ちゃんねるが一般化するという事は、コミュニティの実質的な
「生殺し」とも言うべき由々しき事態なのである。
その緊急性に気がついている者が果たしてどれほどいるものなのか。
そんなに深く考えるものでもないし…なんて、そんな平和ボケした住人が
今の2ちゃんねるを支えているのだとしたら、なんともやりきれない話ではある。


ところでこの中に、『ヲタ芸』『推しメン』『DD』など、
明らかに狼(2ちゃんねるモーニング娘。板・モーニングコーヒーの俗称)が
発信源と思われる、「2ちゃん系モーヲタ用語」も収録される予定で、
このあたりは、一旦鎮火したヲタ芸論争も含めて、賛否両論がいろいろ巻き起こりそうだが、
一つ言えるのは「こんなのに掲載されたって、ロクな事がない」という事である。
でも、もっとロクでもないのは、こういうのに載っかったからと言って、
今まで散々2ちゃんモーヲタをこき下ろしていた者までが
やれ「推しメンが」とか、やれ「ヲタ芸が」とか言い出す事だ。
でも、そういうヤツが絶対出てくるのがもう目に見えてて、正直ゲンナリである。