112「オークションは必要悪?。」



ファンクラブの皆様へ飯田圭織「カジュアルディナーショー」公演のお知らせ (オフィシャル)



オークションを使い、コンサートなどのチケットをやりとりする行為は
ある部分で「必要悪」なのだ、というのがボキの持論である。


もしかすると、それが悪であるという自覚がないままに、
オークションを利用している者も少なくないかも知れないが、
券面に「営利目的による転売禁止」が謳われている以上、
たとえどんな正当な理由があるにせよ、オークションにチケットを出品する事は
立派な罪悪であり、ボキも含めた多くのファンたちがそのチケットを求めて
オークションに群がることもまた、紛う事なき罪悪である。
営利目的じゃなければいいとかそういう話ではない。
そもそも、定価以上の落札金額になる事が初めから解っているオークションなど、
営利目的以外の何物でもないのだし、出品者が知り合いと結託し、
わざと入札金額を吊り上げて高騰させるという悪質なオークションも現実に行われている。
そして、転売屋と呼ばれる、ハナからチケットを売った利ざやを手にする為だけに、
行く意思のないコンサートのチケットを略奪しようとする存在もいる。
オークションとチケットの関係は、その市場が拡大していけばいくほど、
どんどんと胡散臭く、罪悪ばかりが横行する世界となっていくのである。


だがボキは、それでもオークションは必要悪であるという持論を変えるつもりはないし、
自らもその罪悪に、これから先も手を染め続けていく事を否定はしない。
なぜなら、オークションなどという怪しい事この上ない場所まで使わなければ、
本当に見たいと思っているファンたちの元にチケットが供給されないからである。


FCの抽選販売は一見公平に写るが、名義貸しによる複数応募もあるし、
キャパシティにおけるFC枠のパーセンテージによって、当選率が激変するなどデメリットも多い。
だいたい、FCに入っていない者にはなんの旨みもない。
一般発売など何をか況やで、いわゆる代行業者や組織的なダフ屋たちが、
個人には太刀打ちできない資本力とテクニックで、
残りの少ないパイをほとんど掻っ攫っていってしまう現状だし、
だいたい、発売とか言っておきながら、宝くじにでも挑んでいるかの如くの入手確率の低さにはうんざりとする。
だから多くのファンたちは、オークションに救いを求めるのだ。
そして、たとえあからさまに「吹っかけられている」と解っていても、
なんとかチケットを手に入れようと、定価はおろか限度を超えた金額を入札してしまうのである。


今回、カジュアルディナーショーの入場権利がオークションに出される事態を迎え、
今までチケットの流通に関しては、無頓着とも言えるほどだった事務所が、
ようやく毅然とした警告を発するに至った。
はっきり言って、時すでに遅しの感が強いし、それに抑止力があるかどうかは微妙な情勢である。
しかし、今まで野放しとなってきた感のある、モラルハザードへの対策を考え直す、
これがいい機会になる事だけは間違いなさそうである。


オークションで胃の痛む思いをせずとも、コンサートのチケットが手に入る世の中。
そんな理想を現実の物とする為には、チケットの流通させる側――事務所の創意工夫、
もちろん、コンサートのあり方自体にもメスを入れなければならないような気はしている。
公演数を増やすのか減らすのか。誰をどういう形で出演させるのか。
そしてなにより、どうやったら一人でも多くのファンに楽しんでもらえるか。
まずその辺りに立ち返って、興行を打っていって欲しいと切に願うのみである。