103「色っぽい じれったい〜モーニング娘。27thシングル」



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ハローのステージを見ていて感じたのは、
なんだかんだ言っても、そしてどんな事があっても、
やっぱりモーニング娘。のクオリティは変わらず高いという事である。


モーニング娘。に限らず、グループのアイドルというものは
何をおいてもまず「集団美」に優れていなければ存在する意味はない。
確かにレベルの高い集合体には、それを形作るメンバーの優れた個人技は欠かせない。
だが、突出した個人スキルは、かえってグループとしての完成度を
大きく損なってしまう可能性も孕む。
各メンバーがそれぞれのポジショニングとパワーコントロールに精通し、
集団美を追求できるグループこそが、超A級のアイドルグループであり、
モーニング娘。(と、その卒業メンバーが在席するユニット=ハローの大半)だけが唯一、
今の日本の芸能界でそのスキルを持ち合わせている。
ボキが彼女たちのクオリティの高さを声高に叫ぶ根拠はそこにあるのだ。
グループとしてのデキを尊重する為に、時には個性を押し殺さねばならない場面にも、
そこを役割と受け入れて、自分の仕事に徹する姿勢。
メンバー構成が激変しても連綿と受け継がれるモーニング娘。のその精神を理解できないが故、
浅はかなヲタたちは「事務所推しがどうたら」という不毛な事を言い始めるのだ。


話が横道にそれたが、『色っぽい じれったい』のステージパフォーマンスからは、
モーニング娘。の集団美がはっきりと見て取れた。


本格的なラテンをイメージした情熱的な楽曲と、
それに合わせたフラメンコを思わせるしなやかなダンス。
特に、間奏で10人が長いスカートをなびかせ踊る様は、
まさにバイラオーレ(フラメンコの踊り手)そのもので、
彼女たちが年齢以上の妖艶さを醸し出す魅惑の世界に、
なんの躊躇もなく吸い込まれそうになる、そんな感じがした。
そして、もちろんここがスタートとなる
ラクル・久住小春の潜在能力も特筆しておかなければならないだろう。
リーダーの吉澤ひとみやスタッフから、芸能界の(というか大人社会の)厳しい一面を教えられ、
3ヶ月という短い間ではあるが、肉体的にも精神的にもかなりシャープになったであろう彼女。
メイクのせいもあるのかも知れないが、オーディション合格時にはまだ残っていた
あどけなさや素人っぽさは影を潜め、アイドルの顔がすっかり板についてきつつある。
これから先、集団の中での「振舞い方」をもっと学んでいくことになるのだが、
ハローのステージを見る限り、その第一関門は、上々の滑り出しだったと思う。
そしてこの久住の存在が、新曲と向き合う他のメンバーに様々な刺激を与え、
『色っぽい じれったい』は「究極の集団美」を堪能させてくれる素晴らしい仕上がりとなった。


グループとしてのモーニング娘。のクオリティの高さ。
ピンと来ないのならば、この曲を繰り返し見聞きする事をおすすめしたい。
モーニング娘。がなぜハロプロ内での求心力を持っているのか、
それが容易に理解できるはずである。