100「ありがとう。そして、ありがとう。」




このコラムを始めた頃のボキはとてつもなく孤独だった。


安月給の職場に通う以外は、空に流れる雲の行方を
ただぼんやりと眺めているだけのどうしようもない日々。
そして、父の病死をきっかけにその職場すら手放してしまうと、
もう本当に何もかもが虚しくて仕方がなくなってしまった。
そんな時、心の支えになってくれたのはやっぱりハロプロで、
父の葬儀の準備で疲弊しきった身体を、
ハロモニのほんわかムードが心ゆくまで癒してくれたし、
生活の傍らにハローがあるという風景だけは、
どんなにダメ人間になっても全く変わらなかった。
しかし「そもそもそんな風にダメになってしまった理由」に、
ハロプロの存在が大きく関わっているという否定されざる事実もあり、
それでも尚、ヲタとして振舞い続ける事への抵抗感と、
そして、意地でもこのままヲタとして居続けてやるのだという
誰に向ける訳でもない「悲壮な覚悟」との猛烈なジレンマにも苛まれ、
このまま宙ぶらりんのまま、この先無駄に生きていくのかと、
本当に投げやりに時間を費やすだけの毎日だった。


それでもやっぱりボキにはハローしか残っていなかった。
ヲタという存在としての自分だけが「全て」である事を空虚な日々の中で悟り、
そして、それを手放してしまう事は、
事実上「生の放棄」を意味するのだと改めて思い知らされた時、
何がなんでもヲタとして生きなければ。
そして、それを証明する何かを残さなければ…
と、あがき続けた先に見えたのがこのコラムだった。


とまあそんな感じのダラダラな立ち上がりだったもので、
一応は人に読んでもらう事を前提に準備はしてみたものの、
ぶっちゃけた話、飽きたり続かなくなったりしたら
すぐにやめちゃえるようにという腹積もりで、
当初はいろいろと逃げ道を準備したりしていた。
過去、似たようなコラムメインのサイトを立ち上げた事が何度もあって、
何回やっても三日坊主で、サイトを潰す繰り返しだった事を省みても、
まあすぐに続かなくなると思うけど…なんて、まるで他人事みたく考えていたら、
これがなんと100回も続いてしまったのだから世の中解らない。


100回という金字塔の原動力。その大きな要因は二つである。


一つは前から書いているように、ある不祥事で現場を離れざるを得なかった事が、
かえってハロー!プロジェクトを深く見聞きする良いきっかけになり、
思っている事を文章にまとめ、それをネット上にアップするという
「一連の流れ」に余裕を持てるようになった事。
そして大きなもう一つ。
それは、こんな拙文に毎度毎度目を通してくださる読者諸氏が
たくさんいてくれているのだという、心強さの沸き上がりである。
やめるためのエクスキューズだけ緻密に用意して、
誰に読んでもらう訳でもなく、ただのマスターベーションに終始していたのが、
やがてアクセスが増え、コメントやトラックバックをもらうようになると、
いつの頃からか「今ボキは誰かのために書いている」と思えるようになった。
そして今では、一回でも長くこのコラムを続けたい。
そう願い、生きている。



もう孤独じゃないと実感できたからこその100回目。


アクセスしてくれるみなさん。
こんなボキなのに、今でも変わらず付き合い続けてくれている同志たち。


ボキにまつわる全ての人たちへ。
本当に、なにもかも、ありがとう。