093「「オンナ、哀しい、オトナ」〜セクシーオトナジャン」



Hello!Project SHUFFLE UNIT2005アップフロントワークス



ユニット名の意味の無さ(変なユニット名には多少なりとも
免疫があるつもりでいたけど今回は輪をかけて酷いと思う)がたまにキズだが、
そういう雑念を取り除いた上で、改めて今回のシャッフルユニットと対峙した時、
いろいろな意味で「お、これはおもしろいかも」と
純粋に思わせてくれたのは、セクシーオトナジャンだけだった。


もともと立ち上がりのコンセプトがそうであったように、
例年のシャッフルユニットというのは、雰囲気も楽曲も「お祭り色」が強い。
特に、活動時期が夏になってからは、
季節特有の「開放感」のようなものも演出されるようになり、
多くのハロヲタたちが、まずシャッフルで夏を体感するようになるほど
『シャッフル=夏』というコンセプトはすっかり定着した感がある。
しかし今回は、どのユニットも特に夏を意識させない、いわば「通常営業」の佇まいで、
最初にチェックした時には少々拍子抜けであったりしたのだが、
深く考えてみれば、夏の風物詩という大きなギミックの影で
ややもすれば忘れられそうになっていた、
「グループ・ソロの枠を越えて生み出される意外性の妙」という
シャッフルの本来持つ基本線に、今回は立ち返ったという事が言えるのかも知れないし、
そして、その「妙」を最もはっきりとした形で見せてくれそうなのが
セクシーオトナジャン、という訳である。


これまで、その大半が「跳ねる」曲調だっシャッフルの楽曲にあって、
彼女たちの唄う『オンナ、哀しい、オトナ』は、
歌詞にも登場するヴォサノバの世界を強く意識した、
シャッフル史上例を見ない、ムーディーな仕上がりとなった。
唄うのは、ハロプロの「サバサバ系」代表の藤本美貴
そして、二人のハロプロキッズ村上愛夏焼雅)という、
曲の世界観である「ノーブルな雰囲気」には程遠いタイプの3人なのだが、
これが事の他、イイ感じにハマっていたりするのである。


藤本と夏焼は共に、曲調に合わせて歌唱を操れる「器用さ」を
持ち合わせている感じがするし、じっくりと歌声を聴いた事はないが、
おそらくは村上もそのようなタイプの歌唱力なのだろう。
アイドルポップスとしては少し難しいこの曲を、
かなりの安定度、そして完成度で表現できているのは、
3人が持つ、非凡な柔軟性のなせる業だと思うし、
数多の組み合わせの中から、あえてこの3人を選び出した
スタッフの彗眼に、改めて驚かされる思いである。


シャッフルユニットの「真髄」。


それをじっくりと味わいたいのならば、
まずは、セクシーオトナジャンがスタートするのがセオリーかも知れない。