081「歌は世に連れ…」



ちょこっとLOVE/プッチモニamazon.com/注文もできます)



「ハローの曲はみな共有財産」という意志表明のようなものが、
最近特に明確になってきた感のあるコンサートのセットリスト。
初の試みという事もあり、期待先行で先週その幕を開けた
松浦亜弥キャプテン公演ハロ☆プロパーティ)でも、
新旧問わず、ハロプロ定番曲がズラリとラインナップされた。
今年の正月ハローから打ち出された「名曲ヒットパレード的」な流れ。
以前、その内容について書いた時は、多少批判めいた内容となってしまった。
もちろん考え方にいささかの揺らぎはないが、
要は選曲のバランスの問題であって、盛り上がれるという一点においてだけ言えば、
この流れが悪いものであるとはボキは決して思わない。


そんな事を考えていて、ふと頭に浮かぶのは5年前の夏。
2000年の夏ハローでの出来事である。


ステージのフィナーレで突如流れてきたのは、なんと『ちょこっとLOVE』。
しかも、あろう事か、出演者全員が楽しげに唄い始めてしまったから堪らない。
この仰天演出に、当時のボキはただア然とするしかなかった。


今こんな話をしたところで、なにがどこが仰天なんだろう…
なんて思う者の方が多いかも知れないだろうが、
当時の初代プッチモニが紡ぎ上げてきた「青春ドラマ」にドップリとハマりこみ、
武道館でその物語の終焉を、涙とともにしっかと見届け、
そして、保田圭がきっぱり「別物」と言い切った2期プッチへの違和感が拭えなかった
ボキや当時のプッチモニヲタにとって、
この『ちょこラブ』の安売りは、完全なる伝説への冒涜であったし、
ただ盛り上がるという理由だけで、プッチモニの聖域を簡単に凌辱してしまう
作り手の「不潔なオトナたち」に露骨に嫌悪感を抱いたものである。


時が経ち、すっかり何も思わなくなった今になって、
そんなあの頃を思い返してみる時、
「ずいぶん小難しくヲタをやってたなあ…」
なんて、多少の照れも入りつつ懐かしく思うのと同時に、
あの頃の『ちょこラブ』のような、
渾身の思いを込められる楽曲がすっかりなくなってしまった事実に、
ある種の儚さのようなものを強く感じてしまうのである。


ライブが盛り上がる事は絶対命題ではある。
しかし、歌をメインフィールドにしているのだからこそ、
グッと気持ちを傾けられる楽曲を、
例え数年に1曲だけだって全然構わないから、
確実に発信していける集団でハロプロはあって欲しいと
心からそう思っている。


それを完成させられるだけの歌い手は、数多くスタンバイしているのだから。