076「新垣里沙、大逆転のシナリオ」



新垣里沙Wikipedia



何回も書いているが、ボキは武道館公演が春ツアーの初見だった。
まあ一応の事前準備として、すでに上がって来ていたセットリストを
サラリと流し読むくらいはしていたのだけれど、
「ああ、ロマモーをやるんだ」という事以外には
ほとんどその内容は頭に残っていなかったし、
取り立ててライブレポをいろいろ読むという事もしていなかった。
そんな風なもんだから当然、アルバム曲や数々のキラーチューンが
どのような雰囲気で歌われているかなんて全く知る由もなかったもので、
そのガキさんの大変貌っぷりをいきなり見せられた日には、
本当、ただただ驚くより仕方がなかった訳である。


なんというかこう
「ああ、ガキさんって歌こんなに上手かったんだ」という新鮮な発見。
いや、熱烈に彼女を愛する諸氏にとっては、
そんなものはデフォルト中のデフォルトなのかも知れないが、
高橋やら小川やら紺野やらの歌声を結構ガッツリ聴いてきた中、
そう言えばガキさんがまともに唄ってるのをあまり聴いた事がないなあ…
とまずそこの部分からがボキにとっては発見だったのだ。
それはたぶん、彼女にこれまでそういうしかるべき「場所」が
用意されてこなかったという事の裏返しだと思うし、
だからこそ、彼女がステージで堂々たる姿で伸びやかに唄っている様子を見た時に、
「ボキはなんかとんでもない事を忘れていたのではないだろうか」
と、いささか恥ずかしい気持ちも持ったりしたのである。


思えば5期メンバーたちは「次」を常に求められてきた。
卒業するメンバーが出る度に、
新しいメンバーが入る度に、
何か事あるごとに「さあ5期はどうする」と結果ばかりを要求される日々で、
彼女たちは、自分なりの歩幅で歩む事をあまり良しとされてこなかった嫌いがある。
そこには、押せ押せで立ち止まる事を少しも許されなかった加入時期、
あるいは、アクの強すぎる4期と6期の間に挟まれた存在という
「不運」も大きく影響しているのだが、
そんな状況下であっても持ち味を出そうと、
それぞれが前へ前へ出て行こうと躍起になってきた5期メンバー。
今回、新垣里沙が「開花」した事で、
5期メンは今、真の目覚めを迎えようとしている。


かつて伝説の4期メンバーとして君臨したリーダーの吉澤ひとみ
個性のカタマリである6期メンバー、
そして誕生したばかりのミラクルエース
モーニング娘。というパズルの一つだけ空いていた隙間に、
5期メンというピースがカチリと音を立ててはまり込んだ瞬間。
モーニング娘。は、かつてない鮮やかな色彩を放ち始めるのである。


早くその瞬間、この目で確かめたいものである。