069「新鮮味」


6月度 ハロー!プロジェクト ファンクラブ限定イベント決定!!(オフィシャルサイト)



モーニング娘。本体コンサートにおけるステージ規模とチケット価格は、
客のニーズを置き去りにする形で、年々肥大化の一途を辿り、
2003年には8400円の価格設定で、西は大阪城ホール
そして東はさいたまスーパーアリーナという、
トップアーティスト並の相当大きな規模で公演を打って出るまでに至った。
しかし、動員が現象傾向にあった状況を考えれば、
それはやはり無謀な事であったと言わざるを得ず、
転売目的で買われ、売り手が付かずにダブついたチケットが
オークションでとんでもない低価格で取引されるという事態も、ある意味やむなしであった。


それを教訓としたのかどうかは定かではないが、
その年の暮れからスタートする事になる、おとめさくらの分割コンサートにおいては、
それまで以上に地方都市に特化した公演地設定、過去に比べ安めのチケット価格など、
「もうちょっとこうして欲しかった」という、ファン側が抱いていた理想の形に近い、
そして、ある意味モーニング娘。の現状に「身分相応」な公演形態が実現した。
中でも最も有意義だったのが会場規模の縮小である。
会場が小さくなった事で生まれる一体感は、
拡大し続けていた本体コンサートのままでは絶対に味わえなかっただろうし、
「やっぱこれくらいがちょうどいいや」という、言わば適正感覚のようなものが、
作り手と受け手両方の意識に刻み込まれるという大きなメリットを生んだ。
規模的に以前のようなレベルに戻ったその後のツアーにおいても、
セットに花道を設けたり、センターステージを組んでみたりと、
客席との距離感を縮める趣向が数多く凝らされ、そこそこの評判を呼んだのは記憶に新しいし、
また、握手会の増加や海外へのFCツアーの恒例化など、
直接的なファンとのコミュニケーションがつとに増えた現在、
ステージの上と下との関係性は、新たな曲面を迎えたと言えるかもしれない。


そして、その集大成とも言うべき、FC会員限定イベントが話題を集めている。


ステージという枠さえも飛び越え、タレントとファンが同じ高さで触れ合える
コアなイベントは、ファンにとって至福のひと時であるのと同時に、
タレントである彼女たちにとっても、ファンの顔を見る事で、
自らがタレントでいることの意味を再確認できる、貴重な時間となるだろう。
しかしながら、いい事尽くめとは言えず、いささかの危惧もある。
それは、全てが「当たり前」になってしまう事だ。
例えば、分割コンがあれだけ盛り上がったのは、
セットリストやメンバーの組み合わせなど、
普段は見られないようなバリエーションが楽しめたからであって、
分割コンが恒例行事となれば、おそらくどこかで飽きが来ているはずである。
FCイベもしかり。
イベントそのものにプレミア感があるから値打ちがあるのであって、
回数を重ねて動員が伸びる事で新鮮味がなくなれば、
ファンにとってもタレントにとっても単なる馴れ合いの空間となってしまうのは自明である。


メンバーの順列組み合わせの妙もあるが、今回の日程を見る限り
少しばかり回数が多すぎる感は否めない。
イベントの内容でそのあたりをカバーできるか否か。


まずはお手並み拝見といきたいところである。