044「『3rdステーション』〜後藤真希3rdアルバム」


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後藤真希松浦亜弥
名実ともにハロプロの二枚看板である二人の実力は双璧であり、
それはまた日本のアイドル史上においても屈指の存在である。
そして両者ともに、歌における表現力の豊富さにかけては、
他の追随を許す事はまずないと言っていい。
『桃色片思い』から『渡良瀬橋』まで、全く毛色の違う楽曲でも
自らの持つ「良さ」を存分に発揮する事ができる松浦。
『原色GAL 派手に行くべ!』から『涙の星』まで幅広くカバーする後藤もまたしかりである。
しかし、ただ一点だけ松浦亜弥には敵わない後藤真希の「技能」が存在する。


それは cool なシチュエーション。


解りやすく言えば、今作『3rdステーション』に収録されている『横浜蜃気楼』。
アレが松浦にできるかどうかである。
もちろん、松浦ほど懐の深い表現者ならばもしかすると軽くこなしてしまうかも知れない。
だが、比較という観点ならばやはり後藤に一日の長があるだろう。
思えば歌い手にとって一番売り方が難しいとされる2作目に投入されたのが
『溢れちゃう...BE IN LOVE』というコテコテのR&Bテイストだったし、
その後のアルバムでも積極的にcoolな楽曲に彼女は挑んでいる。
おそらくこの路線はハロプロ内における「彼女だけのフィールド」であると、
作り手も表現する本人も感じているのだろう。
経験を増すごとに様になっていく姿は見ていてゾクゾクするものがある。


ただ、先にも述べたが、後藤真希の真髄はそれだけではない。


静と動。陰と陽。そして硬と軟。
互いに相対する二つのテーマを、後藤真希は彼女自身というたった一つのパーソナリティで、
しかも極めて高い表現力で我々に魅せてくれる。
そこに、誰にも真似のできない「後藤真希流cool」という要素が加わり、
作品群の完成度は天井知らず。
そして、今もってなお進化を遂げ続けている後藤真希という存在に、
我々は改めて敬服しなければならない。


何も考えずに後藤真希にドップリとハマっていたい。
『3rdステーション』は、そんな貴兄には
うってつけの名盤になりそうな予感漂う1枚となっている。