041「藤本美貴」


藤本美貴Wikipedia
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「飯田さんには…入ったばっかりの時に、すごい反抗したりとか(苦笑)
なんか注意されたら言い返したりとかして、すごい迷惑かけたり…心配も一杯かけたんですけど…」



つい最近の事だと思っていたのに、
気がつけば、彼女が思い出話にできてしまうほどの長い時間が経ってしまっていたのか。


誰もが驚いた藤本美貴モーニング娘。入り。
鼻っ柱が強く、ソロアイドルとして抜群の適性を見せていた彼女が、
果たしてグループの中に入って自らのいい部分を発揮する事が可能なのか。
そんな好意的な見方ならまだしも、
今さらなぜモーニング娘。に彼女が入らねばならないのかという、
猜疑心にも似た感情もヲタの間には少なからず蔓延し、
そこに横たわる猛烈な「違和感」にみんながモヤモヤとしていたあの頃。


当然、当の本人だって大きな違和感を抱いていただろうと思う。
念願かなって一応は芸能界への切符を手にはしたものの、
モーニング娘。という「本丸」への立ち入りを拒まれた事に対する悔しさは
少なからず持っていただろうし、
ソロで大躍進して、いつかはみんなを見返してやろう…なんて思っていたかどうかは解らないが、
少なくとも、もう一度モーニング娘。というグループに
心を向けるようになるなんて事は思いもしなかっただろう。
記念すべき紅白初出場の夜に生まれた彼女の違和感は、
とてつもないものだったに違いない。


しかし、今やそんなわだかまりはどこにも見当たらないと断言していいと思う。
それは、冒頭に書いた、卒業していく飯田への挨拶。
そこに、彼女がモーニング娘。という存在を経て
着実に変わってきた様子がありありと見て取れるからだ。


モーニング娘。のメンバーとして活動してきたこの2年、
おそらく彼女は、それまで全く未知の世界だったチーム・プレイの精神をじっくりと学び、
ソロとは全くその指向性が異なるという事を実感してきた事だろう。
自らの個性を消さず、かつ10人以上の大所帯の中で「異物」とならないような振舞いに徹するという、
グループ特有の「身の押し引き」をさまざまな苦悩の中から体得した時、
彼女にまつわる全ての違和感は消え去った。
そして、グループのメンバーとしてでしか味わう事のできない
「絆の温かさ」を彼女に伝えた、リーダー飯田圭織
他の誰の卒業のときも気丈だった彼女が、初めて餞のステージで見せた涙。
二人の深い絆を感じずにはいられない瞬間だった。


ソロの彼女を見たくないと言えばウソになる。
でも今は、モーニング娘。藤本美貴がいてくれればそれでいい。


なぜなら11人の中でアハハと笑う彼女が、今、一番輝いて見えるからである。