038「未知の魅力〜美勇伝〜」


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美勇伝というユニットを最初に知ったとき、
なんというか、卒業していく石川の「天下り先」という感じのイメージしかなくて、
「卒業後は新ユニットを結成して活動」というなんとも曖昧模糊な大本営発表の影響もあり、
今から思えば大変失礼な話ではあるけど、
数多あった泡沫ユニットと同列の、極めて他愛もない存在なのだろう…
などとボキは勝手にそう考えていた。


しかし、よくよくそのメンバーを見てみれば、
ユニットオーディションであるにも関わらず、たった一人合格の座を射止めた者、
エッグオーディション合格からわずか3ヶ月足らずで、
ハローの一線級と同じ舞台に立つという前代未聞の大抜擢を受けた者、
そしてモーニング娘。の実質的なキー・パーソン。
美勇伝はまさに実力ある者の集合体であり、
そこに秘められていたのは、ハロプロのユニット史上かつてない強烈なポテンシャル。
そして、それが余すところなく発揮されたデビューシングル
恋のヌケガラ』のステージを見るに至り、
ボキは自らがいかに見識の狭い人間だったかを痛感させられる事になった。
最近のお遊びユニットなどには見られないような、じっくりとした作り込み感。
そして、モーニング娘。や他のユニットとは一味違うノーブルな佇まい。
少し苦めのビター・チョコレートのような、「甘過ぎない個性」を身にまとい、
美勇伝は颯爽と我々の前にその姿を現したのだった。


全く芸能界ズレせず、普通の女の子からポンと華やかな舞台に乗せられた感のある
岡田唯は、確かにまだまだ荒削りな部分が多い。
また、オーディション合格から1年潜伏しレッスンを重ねた三好絵梨香も、
実戦経験に乏しい分、本当の輝きを放つのはこれからだろう。


新戦力である彼女らが持つのは未知の魅力であり、同時に未熟さでもある。


そんな「諸刃の剣」を見事に操り、今はまだ未完成の美勇伝というユニットを
完全体へと形作ろうとしているのが、百戦錬磨の石川梨華なのである。
モーニング娘。のメンバーとして培った様々なスキルを余すところなく後の二人に継承し、
また自らも、更なる進化を遂げるべく、美勇伝というフィールドでの真剣勝負を志す彼女に、
数年前のネガティブ少女の面影は、もはや存在しない。


向上心という名の3本の矢印は、どこまでも伸び続ける。
そして、3本の矢印がキレイに同じ高さで並んだ瞬間。
美勇伝は文字通り、完全無欠の存在となるのだ。


その日が今から待ち遠しい。