035「「恋のフーガ」〜W(ダブルユー)4thシングル」


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今のご時世、なんかしらの大きなタイアップがつかないと、
曲が思うようにヒットしてくれないという現実がある。
しかも音楽業界のビッグネームたちが、
こぞってその大きなタイアップの極端に小さなパイを取り合っているので、
例え名の売れたアーティストであっても、
めったな事ではビッグチャンスに巡り合えなかったりする。
だから、運良くチャンスが巡ってきたときには、
それをなんとしても活かそうと、音楽を商売にしている者たちは
みんな躍起になっているのだ。


ダブルユーに、ドラえもんの主題歌という大きなタイアップが巡ってきた事は、
ある意味においては幸運であったのだが、
実は他方では「タイミングの悪さ」を感じる部分もあった。


最初、ダブルユーが昭和の名曲のカヴァーで世に出るという話を聞いたときは、
「ほーなるほど」と感嘆の声を上げたものだった。
モーニング娘。のなんたるかは解らなくても辻加護の存在は解るというほど、
人気が国民に浸透していた二人だけに、ただ単にアイドルの服を着せただけの
売り方ではなんとなく物足りなさを感じるだろうな…などと個人的には思っていたので、
新旧取り混ぜてのアイドルデュオの名曲を、
辻加護という、個性というにはあまりにも弾けすぎている「類い稀な色彩」を持った
二人で再現するという、作り手の「裏ワザ」には恐れ入ったの気持ちが強く、
『デュオU&U』は自分の中でハローの歴史上5指に数えられる名盤となった。
そしておそらくは自分のようなヲタだけではなく、
一般層への受けも相当に良かったものと思われる。
しかし、そのいい雰囲気が次作にどう活かされるのか…
と、期待していた矢先の結果が『あぁ いいな!』であり、その落胆はかなりのものだった。
おそらくは、カヴァー路線でもう少し引っ張る予定だったところに、
ドラえもん主題歌という願ってもないオファーが訪れ、やむなくカヴァーを中断。
一時オリジナル路線に方向性をシフトしたのだろう。
なぜそう言いきれるのかは簡単だ。
今回「恋のフーガ」で再度カヴァー路線に復帰しようとしているからである。


別にナマズロボキッスが駄曲だと言うのではない。
つまり、恋のバカンスにおけるカヴァーの大成功があり、
誰しもがその部分で、次に対する大きな期待を寄せていただけに、
それがいきなりオリジナルの、しかもナマズの歌だった事に、
なんとも言えぬタイミングの悪さを感じずにはいられないのである。


ともあれ、ダブルユーにはカヴァー路線を続けていって欲しい。


「このデュオを辻加護で見たい」


と思わせる懐かしの楽曲はまだまだ世に残っていると思うので、
例えオリジナルを唄うシンガーに戻ったとしても、
カヴァーをライフワークのように大切にしていってくれれば…
などと、そう願うのである。