030「「肉体は正直なEROS」〜メロン記念日14thシングル」


「肉体は正直なEROS」amazon.com/注文もできます)
メロン記念日オフィシャルサイト



エロス。


本質的な言葉の意味はともかく、その響きは淫靡で、とてもふしだらだ。
男と女が感情のままに互いを求め合い、深い情欲に溺れていく世界。
そう。それは紛れもなく大人だけが味わえる快楽であり、
当たり前の話ではあるが、そこに子供が入り込む余地など寸分たりとも存在はしない。


そう考えてみると、メロン記念日がこのタイミングで
こういうタイトルの曲を唄うということは、
やはり特筆すべき重大事項であると言わざるを得ないだろう。


ハロプロキッズの台頭に象徴されるように、ハロー!プロジェクトは、
今や「子供」というキーワードと切っても切れない関係にある。
それは、2000年のモーニング娘。大ブレイク時に、
グループを一気に「国民的存在化」させてみたり、
ミニモニ。というキャラクターを作り出し、幼児層のファンを取り込んでみたりと、
つとめて「小さなおともだち」を熱狂させるための戦略を
惜しまず続けてきた事が大きな要因だったりするのだが、
子供向けの解りやすいエンターテインメントに特化してしまった事で、
初期の大きな売りだったはずのアーティスティックな部分を大きく削いでしまう形となり、
子供たちへの認知には一応成功したものの、
その一方で、多くの「大きなおともだち」を離れさせてしまう結果となってしまった。
同時に、子供に与える影響力というエクスキューズのもと、
既存のヲタやハロプロメンバー、さらにはつんく♂を初めとした作り手でさえも、
必要以上に「子供たちのお手本足りうる存在」である事を強要されるようになっていく。
そして、その影響でハロプロから刺激というキーワードがめっきりと少なくなり、
いつしかハロプロは完全に「チャイルドルーム」と化してしまった。


ただ、そんな状況下ではあっても、刺激の部分が皆無となった訳ではなかった。
一部でひっそりとではあるが「オトナのためのハロプロ」は息づいていたのである。
そして、その数少ない担い手として指名されたのがメロン記念日だった。
『チャンスofLOVE』あたりから、じんわりと伏線を引き始め、
それを徐々に膨らませていき、ついに今回、エロスという最強ウエポンで、
五十嵐亮太もびっくりの「ド直球勝負」に打って出てきた。
ここ最近のハローの事を思えば、これはある意味「快挙」であり、
ボキは快哉を叫ばずにはいられなかった。


子供が絶対に入り込む事のできない、エロスという名の「オトナだけ」の領域を、
ハロプロの中にほんの少しだけでも存在させるという事。
それは、主流となりつつあった「まずお子様」の流れを根本から食い止める
近年にしてはかなり革命的な出来事であり、
その象徴となるこの曲は、プロデューサーの「もっと刺激のあるものを作りたい」という
切なる願いが具現化した、言わば「執念の一曲」と言えるかも知れない。


この曲がきっかけとなり、
もしも、ハロプロに刺激と活気が戻ってくるような事になったとすれば、
あるいは奇跡の大逆転、大いにありうるとは言えないだろうか。