137「YO・GO・RE」



ヨゴレ(Wikipedia)



ボキはアイドルが恋愛をしたって別にいいと思う。
日頃から愛だの恋だのラブだのヘチマだの唄ってるのが、
恋愛のひとつもしてないなんて、そっちの方がよっぽど不健全だと思うし、
思春期の女の子が、恋愛感情の高まりやキスやセックスの経験をきっかけにして、
見違えるほど綺麗に魅力的になるという例は、そこいら辺に掃いて捨てるほどある。
女性を美しく変身させる最も大きな要素とは、メイクの上手さでもファッションの洗練さでもなく、
ただ一度の恋愛なのであるという定説に則して考えてみても、
アイドルも精神的肉体的に綺麗に成長したいのならば、
バンバン恋愛ぐらいするべきだとボキは常々そう考えている。


しかし。
「アイドルが恋愛してもいい」という事と「アイドルの恋愛が許される」という事は
まったくの別問題であるというのもまた、ボキの持論だったりするのだ。


前にも書いたが、アイドルの甲斐性というのは、見ている者つまり支持してくれるファンを、
いかに巧みに、そして長い時間「騙せるか」が全てであり、
彼女たちがアイドルタレントとして求められるものは、
常に、そしていつまでもファンたちの理想の女の子であり続ける為の自己演出。
要は「あんな顔してアイドルやってるけど男いるんだぜ」と思われるのは、
物分かりのいい一部のファンが「別にそんなのいいじゃん」といくらうそぶいてみても、
アイドルとしてはやっぱり不適格という事なのである。
とどのつまり、アイドルの恋愛とは、どこまでいっても「秘め事」でなくてはならない。
もはやアイドルではないのならば、別に男の話をおおっぴらにやろうが別に問題はないだろうが、
まだアイドルという看板を下ろしていない、あるいは下ろしきれていないのならば、
少なくとも見ている者に「余計な事」を考えさせるような言動は慎むべきだとボキは思う。


今、彼女は、タレントとしてひとり立ちをするための手段として、
過去の威光になりふり構わずすがり(まあそれは製作者が望んでの事なのではあるが)、
そしていよいよプライベートの切り売りまでも始めてしまった。
それはまるで「ヨゴレ」の構図。そして事務所サイドは、
まるで多くの人間に迷惑をかけてしまった彼女に対する、それが最大の懲罰であるかのごとく、
彼女の暴挙とも思える「捨て身」になんら道しるべを与えようとはしない。
ボキは今、そんな彼女が余りに痛々しくて直視できずにいる。


もはや昔のようなイメージ商売ができないと彼女自身も悟っているのか、
これからは自分をさらけ出して仕事していくのだという覚悟のような姿勢が、
今の彼女には見て取れるし、ひとり立ちをする為に彼女がとったのがその道なのだから、
それはそれで尊重せねばならないのかも知れない。
けれど、あけすけになんでも話す事が、果たして本当に得策なのだろうか。
未だに「モーニング娘。」という看板が活動の中に尾を引き、
彼女もそこの部分を大いに利用して仕事をしているという事実を鑑みたとき、
彼女の言動がグループに与える影響がどれほどのものなのか。
自己主張や自己決定もソロのタレントには確かに必要な事だとは思うが、
自らの後ろには、まだ平均年齢が10代そこそこの「イメージ勝負」で生きていかねばならない
後輩たちがいるのだという事を忘れないでいて欲しいと切に願うばかりである。


はっきり言って、もうこんな事を書くのはたくさんなのだ。
彼女の「歌手の仕事」についてコラムをもっとしたためたい。
ガヤガヤとした安い仕事ではなく、歌い手として、自分の場所がきちんと確約された活動を、
この目で確かめ、そしてその時には、万感の思いを込めてコラムを書くつもりだ。
それは果たして、いつの日になるのだろうか。